さて目的地に着く道すがらで、もうお腹いっぱいな感じはするが、とにかく、着いたよ、ステパンツ民だ。ステパンツミンダ。カズベギ。もうすぐ先はロシア。トビリシから途中観光入れて4時間ほどで到着。楽しいドライブだった!にしても寒い!

ちなみにツミンダとは、「聖(セイント)」という意味らしい。ということはジョージア語にするとツミンダ星矢。運悪く子供時代に日本に帰化させられて変な名前になっていじめられるタイプ。

ありがちだが、ついた途端にまた多数のドライバーに群がられる。ウクライナ君がそのうちのひとりと交渉して、「1台 50 GELで教会行くって言ってるけど、どうする?」と我々に問う。50 GELなら相場だ。

2泊ぶんお部屋を予約してみたものの、ここで大してやることもないので、そのメイン・エベントは明日にとっておこうと思ってたのだが…3人で行く方が割り勘できていいか、と、即決。

この14世紀にたてられたゲルゲティ・サメバ教会は別名ゲルゲティ三位一体教会ともいい、、標高2,170mのツミンダサメバ山のてっぺんに堂々と鎮座する、ジョージアのシンボルのひとつ。行くのが超めんどい秘境にあるがため、宗教ぜんぶダメーとされたソ連支配時代には、グルジア各地の教会のイコンや木製十字架などなど、大切な聖遺物の退避場所となったそうな。

写真を見てこりゃーすげえとびっくりしたので、ここは絶対に来ようと思っていた所なのだ。

標高2,170m、最寄り街からは3時間ほどかかるにも関わらず、ガイジン達のブログやレビューなんかを見てると皆大体、歩いて登って行くらしい。しかし

全く辿り着ける気がしない

無理。

車でらくらく、登りましょう〜。

車も、案外楽でもなかった。

でも確かに、登ってる人はちらほらいる。皆、元気あるね〜。帰りもあるんだよ?行きだけじゃないんだよ?知ってる?

ウクライナ君は、こないだ行ったヒトラーの別荘が1,800mだったから、それより高い!とワクワクしている風だ。英語で別荘とかそういう単語が出てこなかったらしく、「ヒトラーがお茶を飲んだ所」と表現した。相変わらず面白い。

ガッタンゴットンと30分くらいやったのち、スカッと視界がひらけたら、あの写真そのままの風景が見えた。

空中教会?

実際は、なんせこんな素敵な場所だから観光客がまあまあいるのだけども、それを差し引いてもこの景色はアメイジング。

マチがマメみたい

とはいえちゃんとした教会だから、中に入るには頭や足を隠す布切れが用意されている。中は何もない、と言われてはいたが、控えめに灯されたろうそくで、フレスコ画がぼんやり浮かび上がっている。こういうギラギラしていない、質素な宗教施設の雰囲気にはゾクゾクしちゃうので、満足。マリア様らしき人のカードを買った。ウクライナ君を見習い、ちゃんとお金を落とそうと決めたのだ。たまには。

 

教会と私

 

その手が表すのは山か、それとも

ウクライナ君と写真の撮りあいっこをして、平べったくてキレイな石を拾って、街に戻る。ほんとうにすばらしいので、アルバム(←↓)を見て頂戴!やっぱりWordpressじゃ無理だよ!

Kazbegi, Georgia 2017 カズベギ

街に降り、ウクライナ君と別れて我々は今日お世話してもらうお家に向かうこととする。

地図を見ると、教会とは逆側に歩いて10分。大した事な…とその行くべき道を見ると、やる気を無くす長い坂道。荷物全てを持って斜面を登るとは楽しいことではないが仕方ない。行こう。

 

この石のぼこぼこも相まってきつい

 

真っ向勝負

 

なんだか見慣れた風景…

首都トビリシのツーリストエリアにいるとあまり見えないが、田舎の裏路地に行けば、質素な生活が当たり前。暮らしは楽じゃなかろうが、ギラギラして夜まで忙しいトビリシから来ると、こういう空気が安心する。

庭にはりんごの木があるよ

ようやく着いた、今日お世話になるお家。普通のお家の間借りかと思ったが、タマラというおばちゃんが切り盛りしている、民宿のよう。今日は我々2人で貸し切り状態。やったねー。

着くやいなや、コーヒーと手作りジャムとパンを振る舞ってくれた。昼ごはん食べてなかったから、大変ありがたく、モリモリいただいた。プラムとリンゴのジャム、お持ち帰りしたいほどに美味しいよ!!

ほんとうにおいしくてパン食べ過ぎた

タマラはちょっとの英語しか喋れず、こちらはロシア語とジョージア語のありがとうしか喋れずだけど、Google翻訳というファンタスティックなアプリのおかげで、大体意思疎通はできた。ひとまず美味しいというロシア語は覚えた。とにかくそれが伝えたかったのである。自分は英語はほとんどしゃべれないけど、アルバイトの子が来てくれる。この宿の名前(Seven Sisters)のとおり、7人姉妹の6番目。家族はトビリシとか他のところにいるので、自分はここに一人で住んでいるとのこと。いかにも人が大好きといったタマラの、優しいおもてなしに安心。

にしても寒い。ヒートテックはやりすぎかと思ったが、+安物のダウンジャケットを着てちょうどいいくらいの気温。くそ暑くて外に出る気も失せるトビリシよりは、全然楽。

翌朝は雨だったので、昼までごろごろ。滝だとか別の村へのトレッキングだとか、色々なお誘いはあれど、そんなアクティビティにはなぜだか全然興味がないので、のんびり街歩きをしよう。

唯一、見たかったのはステパンツミンダ民族博物館

この街が誇る作家アレクサンドル・カズベギの生家で、彼にまつわる品々や墓石とともに、この地方の文化を紹介し…て、めっちゃアンダー・コンストラクション!

工事真っ最中でも入りたい放題

改装中の表示もないが、明らかに営業していないので、あきらめて、カズベギ山を望むふうに建てられているカズベギファミリーの墓石をしげしげ眺めて出る。また歩く。

神取忍?

こちらのコージーコーナーにはシュークリームはございません

お昼は、テラスもあって人気のコージーコーナーというレストランで、とわざわざ町はずれまで行ったのに、まんまと休業…とことん不定休に見舞われるが、動物は休業しない。

うまそうな鶏さん

 

子孫繁栄のためには粘り強さが肝腎

ゲルゲティ教会への山道沿いの川に降りてきた牛の群れに関しては、30分以上は眺めていたとおもう。猛烈アタックをかけてはヒョイとかわされる、牡牛の頑張りを見守っていたのだ。山から降りてくるアクティブなツーリスト達は、川岸を凝視している我々を見て、一体何があるのかと覗いてなんだ牛を見てるだけかこいつら暇だなと我々を不思議そうに一瞥してスタスタと降りていく。

正しい観光をする人

タマラがいくつかオススメのレストランを教えてくれたが、全く名前を覚えてなかったので、それっぽい感じのShorena’sにこの3日間お世話になった。人気店でいつも賑わっているので、人間観察も楽しい。

この後、巨大なチーズパンが運ばれてくるまでこの無言状態が続く

三日三晩飲み続けた疲労がどっと来た感じのおっさんグループや、ヤケドレベルに真っ赤に日焼けして、目の焦点が合わないままひたすら無言でスマホいじりに興じる若者3人組、「チャチャ」というジョージア産のこわーい蒸留酒を飲んでヒャッハー(゜∀。)となっているおじさんおばさんグループ。皆思い思いにカズベギの夕べを楽しんでいる。レストランはテーブルごとに全くカラーが異なるので、見ていて楽しいものである。

翌朝、トビリシに帰る日の朝は、なんだこれロンリープラネットの扉写真か!とびびる光景が、部屋の窓から拝むことができた。

ジョージア人のこころの山

昨日のゲルゲティ教会を見下ろす、標高5,047 mのカズベギ山が、なにものにも遮られることなく、目の前にそびえ立っていらっしゃる。なんと神々しい。ありきたりな表現だけど、こんなもの目の前にしたらただただ、おおーってなって、回りくどい言い回しでは表現できない。

すげー!!!(米語訳:Awsome!!!)

の一言である。

振り返れば

後ろも引けを取らない

こっちもこっちで、カズベギ山には高さに劣るものの、猛々しく堂々と聳えている。

なんだか、なんだか、全然こうして写真見てても伝わらない。写真などこんなちっぽけなものに収まるものではないのだとわかってても、それでもこの瞬間を忘れたくないから、たくさん撮ってしまうが、やっぱり伝わらない。このでかさ。凛とした空気。もどかしい。

お世話になったタマラに挨拶をしにゆく。ちょっと待っててね、とお隣さんに何かを渡しに行ったその光景が、ハウス名作劇場のワンシーンにしか見えなかった。

 

伊佐坂先生んちと同じ「お隣」というワードではくくり難い

Tomorrow…no…と言って考え込むタマラが、ちびろっくのiPhoneに入力したのは「2018」という文字。来年もまた、来てね、か!(違ったらショック)来るよ〜、カズベギ山見に来るよ!

また、会おうね

トビリシから日帰りでもこれちゃう場所だし、観光も山登りも興味がない我々には2泊3日は長いかと思いきや、雄大な景色を拝み、クリアな空気を吸いまくり、動物に和み、タマラに会えて、結果、この小旅行は大正解だった。大自然と、大自然に囲まれて人々が暮らす土地に、間違いは無い。どこに住んでいようと、人間は自然に生かされているのだと思い知らされ、改めて、大事にしなきゃいかんものだな、と思い出させる。

んでは、勇気をふりしぼり、騒々しく暑苦しいトビリシに戻ります…。

おばさんの顔が暑苦しさを物語るトビリシ・バスターミナル

■■本日の旅情報■■

・ジープ往復(ステパンツミンダの街 → ゲルゲティ教会まで)
1台 50 GEL
    ※マルトゥルーシュカ乗り場あたりをうろうろしていれば、いやでも見つかる

・タマラの宿(2泊、数部屋ある家の中のひとつ + 共同シャワー&トイレ)
→ 一部屋 ¥ 2522 × 2 泊 = ¥ 5045

・マルトゥルーシュカ(ミニバスみたいの、ステパンツミンダ → トビリシ)
ひとり 10 GEL
※通常1回はトイレ休憩あるらしいが、この日はノンストップ。2.5hくらいで到着。

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