フランクフルトには何も用事がない。
では何故来たかというと、元々ドイツでは、友人Tinaちゃんと会う予定で、お互いそのタイミングでどこにいるのか不確かだったので、どっからでもアクセス良さそうという、地理的理由である。
結局Tinaちゃんは、留学ビザが下りずこの時点ではまだ地元・シンガポールに留まっており、つまり、そう、もはや何一つ目的がないのである。
今回の居候先は、都合よくフランクフルト中央駅からトラムで数駅。高層マンションの最上階に、同僚の女性とルームシェアしている、空港勤務のおじさんち。
ビールと、パック入りのソーセージとサラダの夕食をいただき、アーバン・ライフを堪能。
翌朝、予定が無くても6時に起床。起床するやいなや、ドタン!という音とともに、突如おっさんが現れた。マジか―、と思って成り行きを見ていると、壁塗り替え作業を始めた様子。うっかりカーテンを閉めるのを忘れたため、お互い非常に居心地が悪い。おっさんがちょっと姿を消した際に、シャッと閉めた。
ふむ、せっかく早起きしたし、このアパートに引きこもってても仕方ない。
よし。
シュトリッツィンガーさんちに行ってみよう。
ひとくち飲んでびっくりした、シュトリッツィンガーさんのワイン。どんな所で作っているのか見に行こう。
シュトリッツィンガーさんちは、ここから電車で南に約1時間。最寄り駅のKlingenberg(クリンゲンベルグ?)というところはどうやらまったく、ただの田舎町のようなので、観光客は皆無であろう。
ドイツ国鉄アプリのおかげで、移動もスムーズ。
なんだか、手前の駅までしか切符が買えなかったので、念のためその駅を過ぎてからトイレに立てこもる。「あんた無賃乗車してんね!!!!!」と、また怒鳴られてもいやである。
無事に目的地までやりすごし、ホームに降りてみると先頭車両が
なにこの冴えないOLの通勤着みたいなカラーリング…。窓まで万遍なく埋めているあたり、ドイツ国鉄に相当な恨みがあるに違いない。
駅前は何もコメントできない程度に何もないので、Google mapさんを頼りに、シュトリッツィンガーさんち方面に向かう。途中雄大なマイン川を渡る。
ここいら、マイン川沿いのフランケン地域は急斜面と、川からの太陽光の反射とか、ワイン造りに適した条件が揃っているんだそうですぜ。
ようやく街らしきものが見えてきたけど、いっこうに人がいないのは、なにか町民が石にされる系の事故でも起きたのか、誰も逆らえない酋長みたいのが数年ぶりに町民を公民館に招集中とか?
※イメージ
路地に入るとかわいらしい街並。
酋長会議が終わったのか、ようやく2,3人の老人とすれ違い、それでも2,3人である。田舎ってそんなもん?なの?
人がいない割には、過激な欲望をも満たしてくれそうなニッチな店があったりするところがドイツっぽい。
大通りを更に奥に進むと、出てきたよ酒の神みたいのが。いよいよぶどう畑に近づいてきたみたい。
見つけた。シュトリッツィンガーさんち。
一応、ワイン屋も併設しているとのことなので、もっとウェルカムな感じのお店風かと思いきや、開いているのかなんなのかさっぱりわからないこの狭い間口。全然ウェルカム感ないこの間口。
張り紙には値段も書いてあるので、確かにここは店のようなのだが、何せ、絶対ドイツ語しか通じないであろうし、その上ワインを買うつもりがない。
じゃ何しに来たんだって、だから、ただぶどう畑を見に来たって、言ったじゃん。言ったよ?
意を決してこのドアを開けて、中にいる誰かにキョトンとされて、とりあえず日本から来たことを伝えて、陳列されたボトルを眺め、もしかしたらちょこっと試飲とかさせてくれちゃったりして、でも買わないで帰るとか、そんな双方にとって面白くないオチをつけるほど図々しくはない。
まずは畑でも見に行こう。ぶどう畑の見える方に登る。
ワイン街道マップ発見。他にもぼちぼちとあるらしい。が、ドイツ語のみで大した情報も得られず。
更に登っていくと、ついに畑が見えてきたよ。
急!!!
急斜面がここのぶどう作りの秘訣らしいが、にしてもこれは風雲たけし城の第一の関門、第一砦ほどに急である。
シュトリッツィンガーさんとこは、だいぶビッグサイズファミリーらしいのに、こんなギャグみたいな土地でよくやってけるもんだ。畑の中に、そのビッグな人たちをさがすが、ミディアムしか見られない。
しかしいい景色。こんなに間近で、ぶどう畑を見るのも初めてだし、ふつうにお花もきれいだし、来てよかったなあ。
ちょっと迷ったが、忙しいさなか、突然言葉も解さない外国人に煩わされるのも迷惑だろうと珍しく謙虚になり(何も買わないし)、Google先生の助けを借りて、御社のワインが大好きですという告白文だけ残して去ることにした。
さよなら、シュトリッツィンガーさん、来年もまた、東京で倍以上の金を出してあなたのつくった美味しいワインを買います。
この街の、他の写真はこちらで御覧ください。
で、結局おいしいワインにありつけたのは
最終日、帰国の途につく直前に見つけた、フランクフルト中央駅前。
普段は香港かとみまがうごとく雑多で、腹をつるっと丸出ししてビール瓶を握った、マンガみたいな酔っぱらいがうろついてたりするが、今日はなんかしっかり普通にストリートマーケット。
数あるやっすいグラスワイン(1杯2〜3ユーロ!!)から選んでサラッと飲んではい2杯め。こんな店、日本にもあったらな!
これから空の旅、失敗は許されないので2杯でやめておこうと思ったら、ドイツ人のおばちゃんに声をかけられ、更に長期旅行中だった日本人のおじさん2人も加わり、更に2杯上乗せされることとなる。
味気ないフランクフルトで、最後の最後で、こんな楽しい&おいしい思い出できるとはタナボタ、ちびろっく大満足。結局一度たりともフランクフルトどころかソーセージ食べなかったことは特に気になっていない。
実はフランクフルト市内めぐりも書くつもりなんですけどもね、今日これから旅立ちますんで、ひとまずここで締めくくらせていただきます。んでは皆さん、ハッピー・トラベル!!
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