シリア難民のアマルには、2回目のデッサウに向かう電車で親切にしてもらい、先に電車を降りる際には、「何かあったらすぐ連絡を」と、自分の携帯番号をいただいた。

ムスリムはどこだっていつだって優しい。ひどい目にあっていても、他人への思いやりは決して忘れない。それがアラーの教えだからだ。そんな温かな人々をにべもなく排除しようとするあのオレンジ・オヤジに、アマルを善きムスリムの手本として提出してやるべきだろうか。

2回目?

そう2回目

街歩記(=建もの探訪)を兼ねての流れとしては以下の通りとなる。

デッサウのカクカクな建物で一晩を過ごし、ベルリン郊外のステファン家に転がり込んだのは、つい昨日のことである。 今朝は、朝早く仕事に出るステファンが用意してくれていた自家菜園&ローカルフードで構成される朝ごはんを堪能。

あのコワモテからは想像不可能なこのきめ細やかサービス…

早くも田舎生活に順応し、ああもう全然都会とか想像もしたくない!な気持ちを必死でうっちゃり、やる気総動員ではるばるベルリンへ。

電車とバスを乗り継ぎ、自転車専用道路に気づかずテクテクしてると、「ここチャリ用!!!邪魔!!!(意訳)」と身体に対して妙に小さいチャリで暴走してきたおっさんに怒鳴られる。そのチャリ、絶対パクっただろおっさん。逃亡中だろおっさん。

まあ、いいとこなんだが

まずはもちろん行かないわけないバウハウスミュージアム
興味ある人に忠告しますとね、先にデッサウとか行っちゃだめですよ。
まあ建物は創始者・グロピウス作だし、模型、テキスタイルなどの教材、作品各種充実の展示なので、文句は無い。

作る側ではなく使う側の都合でつくられた製品は、とことん無駄がないのに不思議と冷たい感じがしない…世界中の「機能的バンザイだけどそれだけじゃイヤ」なワガママにお応えしてくれるこのギリギリなミニマル感!グッとくる。

「ココらへんはノー・フォトよ!」と、暇つぶしに話しかけてきたのが丸見えな警備員のおじいちゃんから、同盟国・日本への賞賛のお言葉をいただいた。ヨーロッパはもちろん、東南アジア、中東、どこに行ったって日本人というと喜ばれる。先人の善行のおかげで旅行が楽である。

Watching genuine products with friend

万国共通の鑑賞スタイルでショップ展示品を眺める爺さんたち

 

気が済んだのでカフェもショップも素通りし、もときた道に出てみると、

案外普通にいるもんだ…

あなたは……!!

 

普通のおじさんだがこれでも天使

幼少時に観てからずーーーと心にのこり続けている、ベルリン・天使の詩で、天使が腰掛ける天使ではないか。

ベルリンに行ったら一応見ておこうとは思ってたが、バウハウスの向こうにいるとはまあ都合が良くて有り難い…。この方の足元あたりにはすこぶるいい景色が見られそうな展望台があるが、観光客でニギニギしていることを想像したら吐き気がするので無視。

 

気付かず撮ってた

そういえば、このベンツビルディングも、映画に出てきたっけ、と気づいたのは帰国後。というか今。

そして更に都合のいいことに、このすぐ先にはオスカー・ニーマイヤーの団地があるのである!

まったく伝わらない写真

興味ない人には単なる団地。
しかし住宅を見るためにはるばるここまでやってきた人間には、とても意味のある…詳細は気にしてなかったから今調べたけど…建物である。
1957年開催の、ベルリン国際博覧会時につくられて、そのまま住宅として使われている…使いみちを見出してもらえないかわいそうな建造物が多いなか、この合理性がまた、いいではないですか。ドイツに無駄は無し。

なんてやってたら、メールが来たのだ。今日1日の流れを、荒川と隅田川が合流しちゃう勢いで変えるメールが。

「親愛なるカオリ

ハロー、まだドイツにいるといいのだけど!
あなたのクレジットカードが入ったポーチが見つかりました。
カフェで預かっています、数日中に取りに来れるかしら?

ダイアナ」

 

なくした金が戻ってくる。

 

世界が呆れるほどのお人よし国家、日本での出来事ならまだしも、ここは海外だろう???
さすが同盟を組んだドイツ人(イタリアはこの際忘れる)、なんて誠実で親切なのか!

驚きは隠せないが、しかしこれからもうひとつ外せない、工場跡を見てから向かうことにしよう。金が戻ってくるのは無論ありがたいが、この工場跡の後にはまったく行きたいところもなく困っていたので、良い暇つぶしにもなる。だいぶ遠いが。二度目だし。

 

と、いうことで!

はるばる2時間ちょいかけて、戻ってきましたデッサウ!!!

メイン校舎手前のビルで迎えてくれる、バウハウス卒業生スーパーエリート達のモノクロ画が、「また来たの?好きだねえ〜」と笑いを噛み殺しているように見える、のはきっと疲れて被害妄想傾向にあるからだろう。

ドキドキ

ダイアナのメールの指示どおりに、つい昨日、憔悴しきったちびろっくに「Hell」というビールをお与えになったカフェに行き、素朴なおねえちゃんにことの次第を伝えると、出てきましたなつかしい黒いやつ!!!ドイツか日本か北欧じゃなかったら、あんた今頃間違いなくゴミ溜め行きだったよ、中身ぜんぶ抜かれてね…。

ちびろっくに多大な幸せをもたらした素朴な天使にダンケシェーンし、次はダメもとでショップへ。

レジの列がひくのを辛抱強く待ち(暇だから時間はたくさんある)、昨日レジを売ってくれたお兄さんに声をかける。「昨日買い物したんだけど、トートバッグ入ってなくて…。」

一瞬で思い出したらしく、ああ、あの黒いのだよね。あそこから持っておいで。と、謝るでもなく、サラッと指示される。目的は果たせたし別に邪険に扱われたわけでもないからいいが、接客にまでミニマル機能美を追求するバウハウスの精神を読み取…らないだろ。ちょっとは悪びれろ。

損失はほぼカバーされ、短期の旅行にも関わらずこんな所まで戻る暇があって本当によかった、と安心しきりでベルリンにとんぼ返り。

また9月においでね〜、とグラビアアイドル的な目で誘う巨大なジョッキを持った姉ちゃんズに別れを告げ、駅へと向かう。

なんかうるさそうなPeter Wackelもやってくるぞ!

「またデッサウまで行ってきたの???wwwww」

面倒なことでも他人に喋れば笑い話に変換できる。
ステファンがふるまう、彼の愛するタイの辛酸っぱいスープで疲れはとんだ。

今日のステファン講座はベルリンにある、新しい国会議事堂のエントランス開発秘話。この人いずれ核シェルターなんかもDIYしちゃうんじゃ?今から予約しとくかな。

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