長年夢見ていたジャーマン・無機質建築をどっぷり楽しみ、己の愚かさに落胆した濃いデッサウの1日を終え、またも首都・ベルリンをスルー。

ドイツ人だって全員が全員、勤勉で時間に厳しくルールを遵守しつつもビール1日3リットル飲むことを生きがいにしている訳じゃないことはわかっているが、にしても街の空白をすべて落書きで埋め尽くそうとするその情熱は何なんだ。

寄り目気味の家屋の顔にも容赦無く

 

こんなに狭いスペースも有効活用する無駄のなささすがドイツ

 

身の程を知る堅実な人々は危険な高所にまでは手を出さない

日本でも思うが、よくもまあ、恥じることなくこんなにも己のセンスとスキルの無さを晒せるものである。

思春期の抑えがたい衝動の犠牲となった駅舎をいくつか見送り、流れる風景はタ〜ララッタタラ〜ララ〜、タ〜ラ〜♪のBGMとともに、脳内・世界の車窓からを放映。

どこに向かってるかって?
かのWikipediaさんですら日本語だとこの程度の情報しかない→アイヒヴァルデ (Eichwalde) 。ベルリンから電車を乗り継ぎ1時間南下、ドイツ人ですら「何それドイツ?」と反応も微妙な小さな小さな自治区である。

オタオタしながら乗り換えもスムーズに済み、アイヒヴァルデのホームに降りてみると、どっからどう見ても軍人の、退役軍人・ステファンさんに笑顔で迎えられ、一安心。

もう一度言うが、退役軍人・ステファンさんは、どっからどう見ても軍人で、この街に大きな庭のある大きな家を構えている(ドイツ人の感覚からすると別にでかくもなんともないらしい)。

爆弾処理とかだいぶ危険で重要な国家保安任務とか、国から直々に任されちゃう程の人で、現(ステファン曰く上っ面だけの)首相からの信頼も厚かった。

サリン事件後の危機管理アドバイザーとして国から派遣されて来日もしている。
地下鉄の中に物を隠せないようにとか、(酔っ払ってて詳細は忘れた)その他猛毒物質への対処方法についても日本に貴重なアドバイスをくれたらしい。そんなこと報道されないから知らなかったが、そんな我が国にすごいことしてくれちゃった人んちにお世話になるとは夢にも思わず。とりあえず国民を代表して、深く御礼を申し上げておいた。

そして現在、このような映画みたいなハードボイルドワークはとっととリタイアして、学生に環境学やら地雷についてとか教える傍ら、学校ではほぼ1日じゅうFBばっかり見てるらしい。FB経由で話しかけると速攻で返信が来るので本当に、1日じゅう見てるらしい。

都会のギスギスした暮らしはもういいよと、越してきたのがこののんびりのどかなアイヒヴァルデ。

不思議なもんで随分と独立した自治区で、警察とかお役所系すら中央のとは違うので、ベルリンで半年かかるパスポート作成が、ここだと即日できたりするらしい。

ここには裕福な高齢者だとか、すごいアーティストだとかがひっそりと静かに皆で協調しながら暮らしている高級住宅地。

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パターゴルフコース3つくらいできちゃいますね〜

 

お手入れの行き届いたお庭ですね〜

巣箱が有ります。見つけられるかな?←今見つけた

さっきの残念な駅舎達のことはすっかり水に流してくれる、この美しくメンテされたお屋敷たち!

ステファンさんちも例に漏れずでかい。

家の前面にはぶどうびっしり

家の前面にはぶどうびっしり

いくら身体がでかくても、ここで一人暮らしはでかい。

何がでかいって、ウラのお庭がでかい。

 

キャンプも可

キャンプも可。30人くらいは。

お庭ですくすく育つ植物たちのメンバー紹介を受ける。
なんせ広いから「散策」と呼べるそぞろ歩きは、コンクリの箱ステイの翌日では更にワクワクした。

リンゴ、かぼちゃ、トマト、ベリー各種、ハーブ各種、ひまわり、その他咲き乱れるお花たち…今後は日本の梨も入れるし、まだまだ増えるよ〜と、コワモテをほころばせて本当に楽しそうに語るステファンさん…「赤い線だ!赤い線を切れ!」なんて指令を飛ばしていた(イメージ)頃の軍人仲間は、こんなNHK園芸教室の講師なステファンさん見たら、腰を抜かすのだろうな。

害虫はどうするのかと聞いたら、他の虫が食べるから問題無しと。完全に愚問でした。

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これでりんごジュースつくる

 

ヨーグルトにのっけたら感動ものだった何か

 

入園料300円はとれる

元々金のない人向けに建てられた家屋で、打ち捨てられてボロボロ、庭は密林だったところを格安で購入し、全て一人でここまでの美しい土地に生まれ変わらせたというのだから、この人のモチベーション&スタミナ&パッションには畏怖の念すら覚える。世界を作ったなんぞやとかいう神様がここに降臨したのか。

この日に夕ご飯でいただきました、トマト(自家栽培)、ディル(もちろん自家栽培)、マスタード(当たり前のように自家製)のサラダは衝撃の美味しさで、ドイツで一番美味しかった食べ物として心に刻まれている。作り方は簡単だから自分でも真似を試みるものの、回数を重ねたところでモノが違いすぎるので、どうやったってあの味にはならない。

料理は愛情!素材!

アイパーの亀の上に象2頭。
農業、政治、各国の文化、料理、しまいには日本のJ-POP、ステファンさんの脳みそに詰め込まれている知識ったら膨大ってもんじゃなくて、驚愕の事実連続でほんとこんなアイパーみたいな顔になります。

苦労して四大入ってつまんない講義受けるより、ここに1年くらい居候させてもらった方が、絶対に人間的成長を望めると確信した。すいません四大なんか出てませんので説得力ないけど。
ただし冷蔵庫はないので、ビールはありません。ドイツだけど。あしからず。

居候 in アイヒヴァルデのミニ・オーガニックファーム、これは非常に良い流れになってきたよ・か・ん…。

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