パリに別れを告げ、初独国の地を踏む

雑だが優雅なパリから、堅実で地に足の着いたドイツへやってきた。

懐具合など諸事情により、父には一足先に小国日本にお帰りいただき、この後1週間は更に気ままな一人旅となる。

その、隣国とも思えない、フランスとドイツの大きな、大きな相違は、まず Germanwings の機内食メニューでお見かけすることとなった。

クロワッサンはどこ

クロワッサンはもはや夢のごとく

サクサクしっとり、軽やかなクロワッサンに代わって、空洞なぞ言語道断、ミッチリライ麦ブレッド&プレッツェルがここの当たり前だ。
パンて文化の色がわかりやすいアイテムな気がする。
そしてスチュワーデスが皆、安産型である。

感慨にふける暇もなく、ちびろっくはあっと言う間にベルリンへ運ばれた。

地方空港?

地方空港?

着くとこ間違った?

これが一国の首都の空港とはにわかに信じがたい。

まあ無駄が嫌いそうだからこんなものか、と変なふうに納得して、SIMカードを買いに行く。
電化製品が売られる店で、マンガほどにゲルマンな男性店員に、その旨伝えると、旅行客にはこれ!と選択の余地ほぼなしで、ネット使い放題の1枚を勧められ、OKするとゲルマンスピードでセッティングしてくれた。

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1GBの速さで1ヶ月使い放題、20ユーロくらい

ようやくバスに乗りこみ、ベルリン鉄道駅へ向かう。
ベルリンはスルー、初っ端に投宿するは電車で西へ2時間弱の田舎町、デッサウである。

ちびろっくは若い頃から妙に、シンプルな線の、それでいてどこか人間の体温を感じる建物や、プロダクトが気になるタチである。その流れで、ドイツでかつて繁栄を誇った芸術学校、バウハウスに長く恋い焦がれた挙句、何とこの度、そのバウハウス校舎にて、酔っ払ったり寝そべったり散らかしたりできちゃうシングルルームに泊まれることと相成ったのである。

と、自慢げに言ってみたものの、別になんの特権でもない、こっから予約をすればいいだけである。しかもユースホステル並の料金。

2回も言わなくたって

2回も言わなくたって

「ハンバーガー」の看板を横目に、中東エリアを抜けたバスは空港より立派に見える、ベルリン中央駅に到着。

自然光がいいですねえ

自然光がいいですねえ

この国は堅実なあまり、借金は悪だという信条が根強くあるらしく、30ユーロもする電車の切符も現金で支払えという。知ってたから、持ってたけど、なくしても基本返ってこないから、現金は持ちたくない。なくさなきゃ、いいことだけど。そのくせ自販機で買おうとすると、100ユーロ札が使えない。参ったねこりゃ。

切符の買い方とか、ホームどこだとか、初心者っぽくオタオタ迷いながら、ああこういう時、地球の歩き方の過保護指南がきっと有り難いんだなあと気づくが、なんかアレにはどうも頼りたくないから、あと重いから、これからも買わない。

京急みたいでかっこいい

京急みたいでかっこいい

赤い電車、かっこいい。
兵隊みたいな若い駅員さんに、これはデッサウ行きだよねと念押し確認して乗り込む。30ユーロも出して間違った電車乗ったらたまったもんじゃねえ。

チャリ多すぎ

チャリ多すぎ

やたらめったらホームにチャリがあるなと思ってたら、皆そのまま乗り込んだ。自転車どころかベビーカーすら乗っける余裕のない東京の満員電車を見慣れてると、驚きの光景である。

全ての駅にもれなく落書き…否、グラフィティ

全ての駅にもれなく落書き…否、グラフィティ

ポツダム宣言て何だっけ、とか、パパはドーハ乗り換え7時間をうまいことやり過ごしただろうか、とかぼんやり思っていると、案外すぐにデッサウに到着。

大浮かれ…そして事件が起こる

左下の人と比べるとでかさがわかる

左下の人と比べるとでかさがわかる

ホームはなんてことない田舎のそれだが、駅構内のこのオブジェで、ここがただの田舎町の駅ではないということが一目瞭然である。

そうここは

デッサウ!!

デッサウに、いるのだ、今、まさに!!

なんせ田舎で駅前にも特に何もないので、真っ直ぐ「Bauhaus」と道標のある方へ進む。石畳を転がるキャリーケースの音が変わった、と思ったら、キャスターの車輪を覆うゴムが真っ二つに避け、よくよく見るともう片方はとっくにゴム自体無くなっていた。まあいい。バウハウス校舎はもうすぐだ。

そして

 

バウハウス校舎があらわれた!

バウハウス校舎があらわれた!

出た!!

バウハウスだ!!

レジェンド建物

レジェンド建物

タモリ倶楽部で、電車がすれ違う度に「おおーーー!!」と歓声を上げる大の大人集団を見るのと同じ気持ちな読者が大多数であることは、認識している。

こんな真四角の、何の特別な装飾もない建物に、何をそんなにムラムラしているのか。説明しようたってできないこのときめき。少なくとも、ちびろっくの中の、「今死んでも全然いい度」が二倍くらいに跳ね上がったのは確かだ。

アナログな建物にはエレベーターなど存在しない。
メールで案内があったように、3階にある受付まで、ボロボロのキャリーケースを引きずりあげて行く。

ああ今バウハウス校舎の空気を吸っているよ!
ほぼ変態の域で、バウハウス・エアーを堪能する。

おばちゃんがテキパキと対応してくれ、宿泊者用の建物設備案内パンフレットや、バウハウスの簡単なパンフレット、イベントスケジュール一式と鍵をもらい、階段を降り、宿泊棟の階段をよりによって最上階まで上がる。

西日がガンガン当たりまくるその部屋の、無駄のないこと!

本気でくそ暑い

本気でくそ暑い

ベッド、棚、テーブル、洗面台。

ファミコン名クソゲー、ミシシッピー連続殺人に出てくる客室の簡素さに、子供ながら驚いたことを思い出さずにはいられない簡素さ。しかし簡素こそがバウハウスじゃないか。

だが本気で暑いし窓もマトモに開かないので、ひとまずシャワーに行くことにした。

広すぎてなんだか恥ずかしい

広すぎてなんだか恥ずかしい

シャワー1つ対しての広さがおかしい。

こんだけ広かったら、バスタブのひとつもあってもよさげなものだが。これがバウハウスだ。
窓は超オープンで、明らかに浴室向けの造りではなかったが、ぎゅうぎゅうのシャワー室で1週間過ごした後だったので、無駄に大きく動き贅沢に使わせていただいた。

しかしここで気づいたのだ。

 

マネーベルト、どこやった。

 

ちょっとドキドキしながら部屋に戻り、荷物をひっくり返してみるが、黒いガーゼの布切れは見当たらない。その中に入れておいたパスポートは、さっきチェックインの時に出してそのままリュックに入れたので、そこにある。

ということは、受付だよな。まだそんなに時間経ってないから、まあそこにあるでしょう。

でも引き続きドキドキしながら、階段を降り、メインビルディングの階段を上がり、さっきと同じドアを開ける。カウンターにはそれらしきものは無く、さっきの女性に聞くも、見ていない、とのこと。

つい10分前までの天にも昇る心地はもはやどっか遠く彼方へ、ぐるぐると色々な思いがよぎる。

「基本戻ってくることのない」現金が、一体いくら入ってたけ?ドイツ人てそんなに手が早いやつ多いのか?これまでインドだろうが中国だろうが、一度も盗難にも紛失にもあったことがないってのに、なんでこの先進国ドイツでやっちまったのか?疲れてんのか?じゃあビール飲むか。

こんな時にヘルとか言うな

こんな時にヘルとか言うな

ということで、ここはドイツなんだからひとまずカフェテリアでビールを調達。
入り口の階段や外のテーブルで、皆ドイツらしく午後ビールを楽しんでるんだから、それに倣わない手はないでしょう?そうでしょう?

はー、やっちまったなー、と、考えてもしょうがないしここはデッサウなんだから、バウハウス堪能しよう!と腰を上げ、ちょっと歩いてみる。すぐ近くに、バウハウスゆかりの人々が住んだという住宅が残っているので、見に行くことにする。

歩いて5分、数軒のうちの一番手前の家でチケットを買おうとするも、今日はもうギリギリの時間だから…と、にべもなくお断りされる。
まだこんなに明るいのにもう17時なのか、と、とぼとぼとバウハウスへ引き返しながら、長い一日を思い返してみる。

十ん時間前にパリで最後の晩に泊めてもらったArnaud さんちを出て、ボソボソのパン食べて、バス乗って電車乗ってマネーベルトなくしt…………

今日、この場所ですべきことといえば、一つだ。

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疲れは癒やさなければいけない

カフェに戻り、もう1杯!

ここはドイツだ、夢にまで見たデッサウだ。無事にここまでこれたことを大いに祝おうではないか。

西日で蒸し風呂状態になった自室が冷めるまで、カフェで飲んでればいいよちびろっく!旅も人生、楽しいことばかりじゃーないから思い出やネタが積もるのだ。

明日はカクカクの建物三昧、さ、キャッシングしてこよ!!

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