そんなわけで近所に優良商店あれど、せっかくだから市場に行きたいじゃない!

とゆことで、買い物兼ねて、たまには外食、お昼を市場の食堂で食べようと、アパートから歩いていける市場へ出向いてみた。
ところがウッカリ出遅れたようで、ひとつはやってなくもないがやってもない程度の活気、もうひとつはそんな低活気に加えて想像以上にオシャレ市場。もはや市場にも見えない。そんなものはわれわれがパリに求めるものではないと、こっちから願い下げさ!

にしても腹ペコだけどどうしよう?

あてどもなく、裏通り(裏通りにいい店があると信じる父娘)を練り歩く。
どうせたまの外食ならば、ここぞというところを選びたい。
あれでもないこれでもないとどうもこれっちゅうのが見つからず、もうハンバーガーでいいんじゃないかと心折れそうになったその時、その店は現れた。

薔薇亭…?

わが町、高円寺には薔薇亭(ローズ亭)という、老夫婦が長年営む洋食屋があるが、レンガ造り、植木鉢、オブジェ、扉を開ける前に得られる情報の多さ、

その店を見た時にまず浮かんだのがこの店である。

老夫婦経営で、婆さんの方は派手にかわいらしく装い、少々口うるさいが心は優しい、安いのに量が異常、ときたら間違いなく薔薇亭パリ支店に違いない。

ここに入って悪いことはないというカンを信じて、元気よくドアを開けてボンジュー。

やっぱり派手に可愛らしく装っているお婆ちゃんは、テーブルを片付けながら確実にこちらを見たが、完全にシカトされる。
そういう感じか!と出てこうとすると、背後からハツラツと
老人の視野というものは狭いのだなと、人間の多様性を感じるとともに迎えられた安堵感。
なぜか「予約席」の札をとっぱらったところに案内してくれた。

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モノは多いがなんかまとまったインテリア

窓際に韓国あたりの観光客ふうカップルがいることから、案外知られているところなのかもしれない。

それでいてお婆ちゃんは、パリの都会感を全く匂わせない田舎のおかあちゃん風→英語はほぼできない。
だがなぜだかなんとなく思いは通じる。コミュニケーション能力に長ける人は、言語の壁など気にしもしない。

「本日のお得なランチは牛肉煮込みだよ~」

黒板にカキカキしたのち、メニューをくれる。
写真も英訳も載っていてわかりやすい。やっぱり観光客も来るんだろな。

店の概要がこの1ページに

肉々しい

種類豊富な肉々しい料理からランチのメインを選択

健康的に育てた鶏のロースト、タルタルステーキ(ユッケみたいな生肉)、ラザニア、いちおう一番下にベジタリアンディッシュがあったりと、ファミレス並みに選択肢が広い。
といいますか、フランス2回めだけど、ブラッセリーにもレストランにも入ったことが無いので、これが幅広いのか普通なのかも知らん。

せっかくだから今日のお得ランチ&サラダにする。父親はポークローストとライス。
「ダーコー、ダーコー(わかった、わかった)」と注文を聞いたおばちゃんは一旦引っ込み、赤い液体と小皿を手に戻ってきた。

韓国料理かっちゅう小皿サービス

韓国料理かっちゅう小皿サービス

サングリア!サングリア!と小さいグラスに並々と注いでくれる。
父親はアルコール分解酵素をこれっぽっちも持ち合わせていないので、「ちょっとで!ちょっとでいいから」と抑えるも、「わかったわかった、ちょっとね~」とやっぱり並々と注いでくれる。いいのだ、娘がいただきますから。

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プリチーメモリー

壁にもあれやこれやが所狭しと飾られており、写真を見ればまーこの人達は人が好きなのだろうなあ、とよくわかる。まだ何も食べてないが、万が一お口に合わなかったとしても、ここに来て後悔することはない、と確信。

「どっからきたの~?カントリーは~?」
「ジャポーン」
「トレビヤ~~ン」

と、昭和コントみたいな会話を弾ませていると、またおばちゃん奥に引っ込み、アルバムを開いてみせた。

「これが息子で、結婚してフィラデルフィアに済んでるの。これが娘で、昔のちっちゃい時がこんなね。今は2人ともすっかり大人でね」

9割方フランス語なのに、不思議な事に理解できた気がした。
言葉の壁貫通。

「旦那は元消防士なんだけどね、これが最近の写真で、これが学生時代。この並んでる学生の中で、旦那がどれだかわかる?」

……顔変わってないw

これ!と指差すと「トレビヤ~~ン!!!」と、まさかのハイタッチ。テンション最高潮。
やっぱりまだ何も食べてないけど、ここに来て大正解だと確信。

なんとなくフランス語風に、「旅行者たくさん来るの?」と聞くと、
「今みたいな週なかばはあんまりこないけど、土日は多いわね。口コミでみんないいこと書いてくれるから、それ見て来る人が多いのよね、このメニューの写真も旅行者が撮ってくれたものでね。ありがたいわ。」(以上意訳)

そして件の元消防士の旦那、シェフ然としたいでたちで登場。
父言うように、ロビン・ウイリアムスのような、安心感満点のやわらかい笑み。
この人の料理がまずいわけがないじゃないかと確信。
あまり喋らなそうな雰囲気だけど、裏のトイレに案内してくれた時は手を引いてくれたり、さすがフレンチ。ジェントルマン。

で、来た、飯。

どかーん

どかーん

肉!野菜!

それ以外になにが要りましょう!
日本人のお宅にあったら、年に一度使うか使わないかのデカ皿に堂々とのさばる肉と野菜…。
ひとりぶん。これ、ひとりぶん。ここは欧米。

そして頼んでもないのに、フォト!フォト!とおばちゃんは飲んでもいないボルドーのボトルを持ち出し、いかにも風に我々の横にセッティング。そしてパチリ。

ワインボトルはディスプレイ用(飲んでない)

他人に撮られる時はもれなく笑顔がひきつる

フランスのレストランは特に、写真を撮られるのが嫌いと聞いたがどこにでも例外はあるものですね。

エッグスタンドにぺったりキレイに盛られた、マスタードやドレッシングでサラダをいただく。野菜うめえ!
ほろほろビーフ、ポークともに美味しく、案外平らげました。
さすがにバゲットを囓る余裕はない。

デザートは?と聞かれるがとんでもないので、エスプレッソを注文。
なんかキュッキュ描いてるのが横目で見えたが、出てきたエスプレッソを見て納得。

どこまでカワイイんだ

なんかスイーツなものがついている…お腹ははちきれんばかりだし、甘い物が非常に苦手なのだが、この心意気、受けない訳にはいかないではないか。食べましたよ、ホイップクリームつけて、チョコレート。マジパンは半分でギブ。不甲斐なくすみません。

そして最終的に、りんごで作ったという食後酒まで出される始末。
ほんとにごめんよ胃腸。今日は残業ないから。夜は少量で済ますから。今は頑張って。

結局のところ

1. 食前酒
2. クラッカー、オリーブ、ピスタチオ
3. メインディッシュ
4. バゲット
5. エスプレッソ
6. チョコ&マジパン
7. 食後酒

このフルコースで15ユーロ*未満!!
 * 本日のお得ランチの場合に限ります

老夫婦経営、おばちゃん派手、大盛り、安い、
やはりここはパリの薔薇亭であった。

しまいにはどこから手に入れたのか、巨大な日の丸を持ち出してきて記念撮影をほぼ強要される。
撮影をお断りされたことはあるが、強要されるなど、観光地によくいる撮れ撮れサギくらいしか見たことがない。
いずれにせよ、父も楽しくなってきたようで、撮って撮って〜とゴキゲン。

の、割に以外と顔が笑ってない

の、割に以外と顔が笑ってないよママン

食事もふつうに美味しいけど、それ以上にここの人気の理由は、間違いなくこの2人のお人柄。
パリに長居するなら、きっと2人に会いに来るついでに食べにくるスタンスになるんだろうな。

最終的に、観光地のベッタベタなおみやげ屋でよく見かけるような「Paris」スカーフやキーホルダーを次から次へと手渡され、焼肉屋のミントガムの如く、マドレーヌを1つずつくれた。

おばちゃん、おじちゃん、楽しく心温まる想い出をありがとう。
いつかこの家族の庭付きの大きな家での、久々の家族全員集まってのパーティーに参加するのが夢です。

<後日談>

あんまりにも愉快だったがために、アパートから歩いたら30分弱かかるのに、もう一度行ってしまった。

さすがにママンのテンションも初回よりは落ちたが、それでもちびろっくを「マシェリ、マシェリ(意訳:わたしのかわいこちゃん)」と呼んでくれて相変わらずの大出血サービス。

どんだけ在庫隠し持ってるのか…今回のフランスベタ土産は、シンプルに「France」と書かれた、フランス国旗カラーのどっからどう見てもフランスな安っぽいキャップ。かぶると少し痛い。
でもかぶりますよ。かぶりましたよ。嫌いなスイーツだって食べたんだから。
隣のドイツ人も苦笑いですよ。

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逆にオシャレなんじゃないか

父はこのキャップを放棄したので、2つとも、すんげかさばるのに持ち帰りました。
先着2名様に差し上げますので、ご希望の方は面白いダジャレでも添えてコメントください。
ていうか誰か早くもってってください。

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