ヨーロッパも暑かったが、東京の夏はなんでこんなに重いのか。
毎日元気に2万歩歩けたヨーロッパと、駅までの10分で毎朝気持ち悪くなる東京、同じ気温とは思えない。
寄る年波には勝てないからなのか?
天気が異常すぎるのか?
いずれにせよ、逃れられないこのクソみたいな空気のなかで生き延びるには、気持ちだけでも、愉快に過ごすのが一番である。
愉快に過ごすということは………まずは!オ・サ・ケ!
今、パリの人々は何を飲んでいるのか?調査(=飲む)してまいりましたので結果報告いたします。
パリジャンがカフェで飲むもの・夏
ワイン=フランス
フランス=ワイン
と言っても過言ではない、フランスにとってのワイン、ワインにとってのフランス。
フランス人にとって最高の喜びともいえる、食とも切っても切れない屈強な関係。
ビール??麦を飲むなんて下等な人間のすることザーマス。
なんてワイングラスをくるくる回してるのがパリジャンだとてっきり思い込んでいたが、よくよくまわりを見回すと。
なんだフランス人たら普通にビールも飲むんじゃん!それどころかどこのカフェでも全員ビールじゃん!
パリジャンに聞くと、ワインは高いから買って家で飲むもんで、食事の前に外でひっかけるのはビールであることが多いらしい。
なるほど納得。どうせワイン飲むなら、ちゃんとしたやつ飲みたいもんね。
確かに、夏の昼間はやっぱりビールだね。
なんて、カフェで軽く1杯(娘→ビール 父→オランジーナ)やってたら、隣でひっきりなしにビールをかっくらう紳士から声をかけられた。どっから来た系のスモールトークの後、紳士の隣の老紳士を紹介される。ふつうにお友達同士だと思ってたら、なんと父と息子だそうだ。パパお若いね~。
イタリア出身、パリに来て50年の元プレイボーイ(78)というパパは、息子よりものんびりペースでロゼをやる。
夏はみんなロゼばっかだよ~なんて話を聞いていたら、紳士いなくなり、すぐさま追加のビールとロゼを持って戻る。昼間っから勢いがいいね!
そしてそのビールはマダムどうぞと手渡される。ロゼは元プレイボーイへ。
やばい。1杯でじゅうぶんだったちびろっく。
だって考えてもみなさい、父親も母親も下戸、その娘。飲みそうな顔してるけどそんなに飲めませんて~。
しかし、お近づきのしるしにと渡されたら、飲まないわけにはいかない。
今日の夜の分だと覚悟を決めてぐびっといく。
なんとか飲み干したあたりで、そろそろ行くか~と席を立とうとしたその瞬間、0コンマ何秒早く紳士が再度席を立つ…いやまさか、
そのまさかで、先ほどとまるきり同じ状況が再現され、マダムどうぞと手渡される3杯め。
酔っ払って見えた幻覚かと思った。
ちょっと酔っ払ったみたい…。ちょっと?ちょっとかな?よくわかんないや?
同じく、追加のロゼを手渡された元プレイボーイは、2杯めをまだ飲み終わってもない。
「俺はもうそんなに飲まんよ」と、半ば呆れ気味に3杯目のロゼを返還しに行った。あたしも素直になればよかった。そうすりゃよかった。
パパ2人はすっかり酔っぱらいに付き合うのが飽きた様子で、「じゃーねー」と散り散りに去っていった。
置き去りにされた娘と息子。お互い、サラッとした父親を持ってますね…。
徒歩1分のところに自分が働いてるカフェあるから更にそっちで飲もう、と誘われるが全然要らないしもう一人になりたいのでコーヒーだけいただくことに。
本当に1分のところにあるそのカフェは、観光客も躊躇なく入れる、可もなく不可もないでかい店だった。
エスプレッソをもらい、ひととおり同僚に紹介されて、「はいはい」と適当にあしらわれたのち、紳士、こっちが無理やり付き合わせたかのような物言いで「これでOK?」
もう忘れたのかい、ここまで付き合わせたのはあんただよ…。
明後日は16時に終わるからまた来てよ!わかった、来るよ!ありがとう!と、口約束をするも、また来た所で別に話すこともないのですっぽかしたちびろっく。
ピエールさん?ジェロームさん?忘れたが、ごちそうさまでした。
その後、ひとりで赤い顔のままアラブ世界研究所に向かい、ひととおりオリエンタルな展示をじろじろ眺めた。
それでもまだほろ酔い風だったので、気分よく調子に乗って、徒歩1時間の距離を歩いて帰ろうと思いさっそうと歩き出した。
パリにありがちな五叉路にまんまと惑わされ、気づいたら20分ほど、全く逆の方向に歩いていることが発覚したため、挫折してメトロで帰った。疲れた。
ようやくアパートにたどり着くと、飲んでからだいぶたったにも関わらず、父親「酒臭いw」とツッコむ。
そうかー。
だから、アラブで、見知らぬ美青年が突然、「ボンジュー、マダム」と、微笑むどころか結構笑いながら挨拶してきたのかー。バレバレだったのかー。酔っぱらいが。
アルコール厳禁のアラブ世界に、あろうことか酒の匂いを漂わせながら立ち入ったちびろっく。
今後、日本人が狙われるテロがあって、実行犯が「酒に酔った日本人が神を冒涜したからムシャクシャして」と供述したらそれはたぶんわたしです。メンゴ!
パリでも熱い、クラフトビール
ここパリでも、アメリカ、日本と同じくクラフトビールとかそんなんが熱いらしい。
やたらと営業時間短くて行きそびれたが、パリのど真ん中で、ブルワリーを持つバーもあるという。
何がしかには行ってみようと思い、パリのビール好きにはすっかりお馴染みだという、People’s Drugstore に寄ってみることにした。このサイトを見る限り、名前がまたよろしいし、安いし、オシャレブティックのようで、パリならではな感じではないですか。
ところが。
Google さんを頼りに、あれ?ココらへんのはずなんだけどな~と見回すもそれらしきオシャレブティックは無い…いやよくよく見たらここのボロ屋のガラス戸に People’s Drugstore とあるけどまさか。
2回気づかず素通りしていたそこは、オシャレブティックどころか、近所の悪ガキと老人のたまり場居酒屋。
前述のサイトの写真のとおり、確かにチェス盤はある。そこにクラフトビールというかビールとかそんなにこだわりもなそうな老人が2人腰掛けて、無言でチェスに集中している。
壁にずらりとボトルが並んでいる…わけもなく、ビールは日本の小さめの居酒屋程度の冷蔵庫2つに十数種保管されている程度。
開店準備中だと信じたい、荒廃した店内に馴染む出で立ちの青年が、「何飲む?」と聞くので、ちっさいサイズのIPAおくれ、と言うと、アルコール10パーとかの出してくるもんだからキャンセルし、普通にピルスナーを…とリクエストするも大きいのしか無いけど、と出されたのは、つまんないラベルが貼られたドイツビール。
あ、うん、なんでもいいや、これで、と4ユーロを支払う。
メルシー、と荒廃した出で立ちの青年は、元いたチェス盤の方へさっさと戻る。
ぽつんと一人残されて手持ち無沙汰になった。
つまらないので、ちょっと踏み込んでみようと、トイレを借りることにした。
地下にあるというので薄暗い、きっとこれまで数多の酔っぱらいが踏み外したであろう、粗末な階段を降りると、怪しげにランプの灯りだけで照らされているソファーとまたチェス盤。アジト風な部屋。
暗すぎだし雰囲気もなく、のんびりできる感じでもなかったので、写真を撮ってさっさと上がる。
上は上で通りすがりの旅行者が馴染めそうな雰囲気でもないし、ビール瓶持ってさっさと退散。
パリ屈指の観光地、元気なツーリストもりもりのサクレクール前を、でかい瓶でビールをかっくらいながら、アパートへ帰着。
結局
ただの酒屋でビール買ったのと同じじゃないか…。
結局のところ、楽しいおサケは、仲良しと一緒なら、どこだっていいのだ。
酒屋だろうと、カフェだろうと、公園だろうと…アラブ世界研究所は、やめておこう。
金曜!愉快に過ごしてこの腹立つ暑さを忘れてやろうぜ!
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