タイだとかカンボジアだとか、同じところばっか行っていいかげんにしろYO!VOL.1
なにって、タイトルのとおりです。
世界広しといえども、わたしが行くところといえば、タイと香港ばかり。
いいかげん、行ってる本人もうんざりの始末。って他のとこ行けばいいじゃん。でもね。
いろんな人に、みせたいんですよ。めちゃめちゃ愉快ということを知ってもらいたいんですよ。タイのばかばかしさ、カンボジアのこすっからさ…いやいいところも沢山ありますて。
今回は、以前ちびろっくがバンコクに滞在していたとき、チーズ蒸しパンの運び屋として活躍したみのりさんと、オキナーという外国在住のゆみさんとカンボジアのいつものアンコール周辺に加え、コーケー遺跡という、人を小馬鹿にしたネーミングで話題沸騰の、離れにある遺跡に挑戦だ。
そののち、バンコクにて、当時海外は韓国しか経験のなかった、ちびろっくの相方トドマンと合流。きむち以上のおいしいものを、たくさん食べてもらおう。
わたしは、この全員がタイが好きになることはすでにわかってる。心配といえば、今回は2週間たらずと、ちょっと短い旅なので時間配分にきをつけないといけないこと。特に、ものすんごい観光客来てるのに、いまだ発展途上というかずっと発展開始準備中みたいなカンボジアの陸路移動がありますから。
まあ、でも、そこはなんとかなるのも東南アジア。
年々めまぐるしく変化をしつつも、まだまだ埃っぽくて熱くて臭い、タイとカンボジアの世界をどうぞお楽しみください。
ものすごく長いあらすじ
というわけで(前フリ参照)、われわれ3人はタイ経由でカンボジアに入るという、ギター練習でいえばアナーキーインザUKみたいな陸路移動の入門ルートをいくのである。
さんざん楽しみにしていたのに、2時間前ぴったりに成田に着く電車に、普通に乗り過ごし、案外一服する時間もなく、あわただしくまず台湾へ。
経済難のため、乗り継ぎとなったのだが、1つ旅行先が増えたような気がして、少し得した気分になるのであった。しかし、台湾の空港はまったくをもって「たのしみ」の「た」の字もない。乗り継ぎだからって、中国酒と中国タバコの免税店しかないとは、おいここは中国か?おまえら所詮中国なのか?といやみのひとつも言いたくなるくらい、地味でしょーがねー。
というわけで、我々はせまくるしく囲われた喫煙所にて、ロードオブザリングのTシャツを着て、金の指輪をしているタイ人の男を、「どういう風に甘く見ても悪い奴だ」ときめつけながら、一服するしかなかった。
そしていつもどおり、無事バンコクに到着。
しかし「ああ~海外きた~」という開放感はおろか、「ああ、なんでまたタイにしちゃったんだろう」と後悔する気持ちというか、いや後悔なんかしてないけどでも、他のところでもよかったんj……いやいやいや。
やった~。またタイだ~。ま~んも~すう~れP~。(※注1)
どこに宿をとるかというすごく基本的なことで少し悩んだ末、都心部にあるソイ・カセムソンという高級安宿街(どっちなんだ)へむかうこととする。渋谷から代々木公園に向かうあたり風な場所で、立地はとても便利でいいところだ。
バス停では、どこへ行くのと話しかけてきた若者に、バスの番号を教えてもらう。いままで何回、ここでバスを待ったか?乗るべきバスの番号など知らないわけがないのだが、言葉がわからないのに親切にしてくれた青年に、さきほどはちみつ入り玄米茶の排他的な味に凹んだ2人の心も癒されたに違いなかった。そのままきびすを返して帰国するんじゃないかとヒヤヒヤしたよ。
若者の街、サイアムスクエアで、また悩んだ挙げ句非常に残念な香港風ヌードル(図1)を食し、「創業1927年」というまことに嘘くさい看板をかがげた店にて休憩。
なぜ香港…
「ペプシありますか」
「…(苦笑いして首をふる)」
「コークはあるでしょうよ」
「…(苦笑いして首をふる)」
「…オバルティン(※注2)は?」
店員はやっと、ぱっと顔を輝かせ、
「イェン?(冷たいやつ?)」
「イェン(冷たいので)!」
かくして、歯が溶けるかと思うほど甘すぎるオバルティンと同じく甘すぎるデザート(図2)にふたたび具合を悪くし、早々に宿に引き上げ安静にして明日の旅立ちにそなえる。テレビでは苦々しい顔をしたお坊さんが、だらだらとありがたそうな話をしている(図3)。
そして翌日、早朝のバスでカンボジア国境へむかう…。んもー、短期旅行はいそがしくてイヤン!
発展しない翌日、バスでカンボジアとの国境の街、あまりにも有名な国境の街、アランヤプラテートへ。
バスのキレイなおねいさんは我々をつめたくあしらい、通路をはさんで隣のカップルはやるかやらないかのラインでいちゃこきまくり、国境の街ではといえば相変わらずきったならしいガキにたかられ、砂埃でむせ、こうるさいバスの勧誘にまくしたてられ、いつも通りの穏やかな道のりである。
同郷店先のペプシの業務用冷蔵庫がやたらめだつこの茶色っぽい街(※図4)は、発展しているようで案外変わらない。さて、適当な若者と口頭の契約をかわし、いつも通り客がそろうまで、数時間待たされたのち、ドアに「自動扉」とかかれた退役バス(※図5)に詰め込まれた。よお、同郷。がんばってるな。
このままこのバスの会社と提携している宿に連れて行かれるのでありましょう。バスの中で、「どこへ行くんだ」と話しかけてきた、宿常駐のバイタク運転手のおっさん(推定40)と、その仲間たちで、この旅のひぶたは切って落とされたのであった! ←強引
※注1
…酒井法子語。20年ほど前に一世風靡した言語で、現在は使われていない。
のちに、当の酒井法子本人より、「事務所から強要されていた」という余計なことが暴露された。
※注2…
麦芽飲料。40代の同僚の話によると、かつて日本でも売られていたということだが、「ミロでよくね?」ということなのか、現在は販売されていない。
日本以外では現在でもミロをしのぐ。