入院生活3週間をこえ、むしろここの生活が楽ちんに思い始めてきたちびろっく。
だって感染しないように…とか気をつける必要ないし、感染してるから。

筋トレに加えて踊りまくり、世界ふれあい街歩きとか観ながら走りまくり、病室内で3,000歩かせいでおります。元気です。

 

踊りながら心拍数が見られるというなかなか無い環境

 

しかしコロナちゃんがおさらばしてくれないので、しばらく出られそうにない。
まあ、PCR検査の確度は70%と言われているし、偽陰性で家帰って誰かにうつしたりするよりは、時間かけて確実に消滅させた方がよかろう。
というかこのぐうたら入院生活を全く苦に思っていないので、別に焦ってもいない。

しかも味気ないというか味の無い病院食のおかげで、4、5キロ痩せたし。

入院すればするほど、入院保険ガポガポもらえるし。

仕事しながら家事といぬの世話を一手に引き受けてくれているけんちゃんには申し訳ないと思っているが、やむを得ずもう少しぐうたらします。普段の数倍稼いでるのでゆるして!

 

さて前回の、入院に至るまでのドタバタに引き続き、どんな感じよ病院、をここに記します。

 

完全武装の保健所の人の車で、病院に到着したちびろっく。

裏口らしき所に車が停められる。裏口っていうちょっとアングラな扱いにドキドキする。

 

ここも色々大変そう

 

初めてマトモに見る市立病院の建物、古くてなかなかいい感じの建物…とこそこそ写真を撮っているとまたも完全武装の看護師さんが2人やってきて、車椅子に乗せられる。
人のいない受付を通り抜け、エレベーターホールへ。

そこで一旦止められて、1人が先に。すぐそばにあったファミマから人が出てきて廊下の向こうに消え、そして誰もいなくなった瞬間を見計らって合図とともにダッシュ!

「はやくはやくはやく!」と急かされて、車椅子を押す看護師がエレベーターに突進。扉に背を向けて乗せられ、コロナ専用フロアとされている4階へ。

なにこれゴールデン・ハーベスト時代のジャッキー映画の一コマみたい!

こんな面白いことになるんなら動画撮っときゃよかった!

 

残念ながら個室ではなく先客のいる部屋(レッドゾーン)に通され、看護師あわててベッドの準備…まだしてなかったのかよ!

明らかに極度の天然であろう看護師は、早すぎる段階でシャワーやらなんやらまだ必要のない説明をし、服の上からわたしの身体に心電と酸素飽和度を計る機械をつけようとして、二度失敗。あの、服着替えるタイミングでつけりゃいいんじゃ?一気に先行きが不安になる。

 

パルスオキシメーター。これが酸素飽和度正常値だが最初は90を下回ったりした

 

そのうち担当のお医者さんが来て、初めての動脈からの採血。なんと脚の付け根からとはおったまげた。

で、食欲は殆どないというとすぐに点滴の手配。ついでにさっきつけられたパルスオキシメーターとやらの数値を見た看護師さんが、「この数値だと、普通なら這いつくばって立ち上がれないくらいになってもおかしくないんだけど息苦しくないです?」

言われてみれば、深く深呼吸ができない。でも別に這いつくばるほどの苦しさはない。

この記事を読んで腑に落ちたのだけど、これがコロナウイルスの危ないところのひとつ。患者本人が気づかないところで、低酸素症が進んでいく。だから軽症に見えた患者が突然死んだりということが起きるのだ。

はじめの数日は、この数値が危険レベルまで下がり、そうするとナースセンターのアラームが鳴るらしく、1日何度もナースコールで具合を聞かれた。でもやっぱり自覚していないのだ。

点滴とパルスオキシメーターに加えて酸素吸入器までつけられて、ヒモだらけになり、自分がなかなかの重症だったということにようやく気づいた。もう熱が下がってきたので回復しているのだと思ったら大間違いだった。あのまま自宅でじっとしてたらどうなってたんだろ?

おもろまちメディカルセンターのお医者様、社会にはどっちかってと必要のない、ドラクエ的に言うとうんのよさだけで生き延びている、あそびにんなんかの命をお助けくださり、心から御礼申し上げます。

 

結局、熱はなぜか病院に来た瞬間に35度台まで下がった。
後はこの呼吸困難の症状がなくなれば、PCR検査が始まる。2回立て続けに陰性が出ればOKとのことだけど、コロナちゃんはしつっこいらしく、入院期間はおおよそ1ヶ月、とのこと。

しかし不思議なことに、別にそれを聞いてもおお、そうですか、としか思わなかった。
なぜかというと多分、基本的に狭い所が好きで、自分の空間と時間が確保されていて、自分の好きなことができれば満足なので、別に人に会わなくても喋れなくても外を歩けなくても一向に構わないのであろう。

けんちゃんから12GB通信OKのSIMをもらい、最低iPhoneでどうにかできるように準備しといたけど、翌日からコロナ患者向けにちょっぱやのWi-Fiが開通し、映画も音楽も存分に楽しめ、Kindleもダウンロードしたのでもう暇な時間など皆無である。
普段めんどくさがって観ない、フェリーニとか、ヌーヴェルヴァーグとか、観ちゃうんだからこの際!

 

有線イヤフォンやらナースコールも加勢してがんじがらめ

 

コロナ患者の行動範囲は病室とトイレ、シャワー室まで。全て20m圏内。
しかも移動時は必ずナースコールで要連絡。完全武装している一部の看護師以外の人間には近づけないため、周囲に誰も居ないことを確認して、マスクを装着してからやっと、部屋の外に出ることを許される。

 

洗面所。あっち側の病室の方が景色がよさげ…

 

最初の2週間くらいは、そんな近くのトイレに行くにも呼吸困難が起きるので、ずっとお買い物カートスタイルの酸素タンクみたいのと、最初の3日くらいは点滴してたので点滴バッグぶら下がってるハンガーと、道連れが多く実に面倒だった。しかしそれほどのサポートが必要だったということで、家だったらマジ死んでたんじゃないかと思うとぞくぞくする。

 

1日1本は映画を観ようと決め、時間はタップリあるので手当り次第。

2日目に観たボーイズ・オン・ザ・サイド(しばらくして見たことあることに気づく)の終わり間近で、肺炎で酸素吸引の管つけられてて点滴刺さっててるこの人、上半身部分上がってるベッド含めて今これを観てる現在のちびろっくと完璧に同じ状態で驚いた。鏡見てるかと思った。こんなに鼻高くないけど。

 

そしてちびろっくのそばにはウーピー・ゴールドバーグはいなかったけど

 

そしてアビガンとやらを1日9錠×2回、服用する。初めて聞くが世間では話題になってたようで、皆に、「アビガン飲んだ?」と聞かれた。

妊娠とかしていると奇形になったりするようだけど、子供嫌いのちびろっくには関係ないので、アビガン使用承諾書的な書類にはササッとサイン。なんでもいいから早く回復さしてけれ。

 

多くね?

 

アビガンのおかげか、2週間くらいしたら息切れもなくなってきたので、ようやくPCR検査が始まる。

インフルエンザの検査したことある人なら知っていると思うけど、すんげ長い綿棒を鼻につっこまれるアレである。しかも両鼻。脳天まで貫くかと思うほど深く挿すので、朝からわりかし苦痛。これを1日だったり毎日だったりやるわけだ。スケジュールは未だによくわかっていない。

2回連続で陰性結果が出た途端に退院となるが、これが思いの外ハードルが高いのだ。これをクリアするのに、平均1ヶ月。長居しすぎだろコロナちゃんよ。

 

こんな長い綿棒見たこと無い

 

看護師さんも先生も、コロナ患者の病室に入る際はふわふわガウンから顔プロテクター、手袋など上から下までもれなく完全武装。これを着るのに10分かかるらしい。申し訳ないので気軽に呼べない。

こんなんしないと病室に入れないので、面会なぞもってのほかである。まあ気楽でいい。

一応、差し入れは1階で看護師さんが受け取ることはできるらしいが、結局必要はなさげ。
ウッカリ毛抜きを忘れたが、そういや昔映画でコインでヒゲ抜いてる人見たな、と、1円玉2枚を使って試みたらこれが案外いける。膝の毛とか抜いてると夢中になりあっという間に時間が過ぎる。
物不足は人間をクリエイティブにするのだ。

 

レントゲン撮影の機械まで完全武装

 

最初は1日数回、問診と様子見に来てくれていたけど、最近は元気になったからなのか、すっかりおざなり。しかしたまに来ると皆さんすんごい親身になってくれて、「ストレスになるようなことがあったら何でも言って!」ありがたや、ありがたや。

では、と、3食白飯含めて完食させようと躍起になっている栄養士が、ちびろっくが夜に白飯食わないからとおかずを極限まで減らすという暴挙に出たことを訴える。夜に白飯は食わん!タンパク質と野菜をもっと盛れ!看護師爆笑してわかった!伝える!と約束。

下記の3点の写真から、白飯を除いた量を食べる、と考えてみよう。

 

4月24日の晩ごはん。なかなかのボリューム。

 

4月21日の夕ご飯。無味すき焼き。芋、食べきれず。

 

5月3日の夕ご飯…スカスカじゃねえか!

 

看護師さん、早速ちびろっくの訴えを伝達してくれたのか、この日の夜は前夜の4割増しほどまでに戻り、ついでに白飯の量が半分になってた。

 

ごめん増やせとか言っといて食べきれなかった

 

申し訳ないけどそれでも白飯は要らない。夜間の穀物はビールか蒸留酒に限る。

しかし最初の1週間は食事の時間が苦痛でしょうがなかったが、人間慣れるものである。もっとおかずを盛れと主張するまでになったのだから。

 

ご飯とともにお茶は出るのだが、飲み水、その他必要なものは自分で買う。
しかしコロナ患者はこの結界から出ることは絶対に許されないので、看護師さんにお願いする。
しかしコロナ患者が触った物はコロナ患者以外は触れないので、お金もしくはクレジットカードを渡し、アルコールかなんかで消毒後、買い物へ。

 

品物と一緒にこんな感じで返してくれる

 

そしてこういう物理的なやりとりは、病室のすぐ外においてあるワゴンでやり取りする。

「むらかみさーん、お買い物したやつ、置いておきました!」と言われたら、1,2分後に扉をちょっと開けて誰もいないことを確認し、サッとブツを回収する。

ご飯も、オキシメーターの電池も、シャワー入る時の着替えも、全部このようにワゴンを介して行われる。ワゴンは感染者と非感染者をつなぐ架け橋として非常に重要な役割を果たしている。ありがとうワゴン。

 

地味だけど大活躍

 

こんな感じで、徹底的に院内感染予防策、とってます。

コロナフロアはこのたび特別にこの病院に設けられたものなので、最初の頃はなんかいろいろバタバタしてたけど、ようやくオペレーションが固まってきた様子。加えて、何人か退院してちょっと余裕もできたか。

退院といえば、同室の上原さん(推定50代女性)は、「電気消しまーす」以外にほぼしゃべることも無かったが、看護師さんや先生とのやりとりで、症状がなくなって暫く経つのに、PCRで陽性が出まくってるということでなかなか退院できなかった。

が、とうとう!ちびろっく入院開始2週間目くらいのある日、ガサガサと荷物をまとめ始めたので、「退院ですか!」と聞くと「やっとです!」

いつからかと聞くと4月4日から。今日は29日。先生が言ってたとおり、4週間。

 

窓際が空いたので、看護師さんがちびろっくのベッドを移動してくれたのだ。明るくてテンションが上がるし、ひとりだからイヤフォンも不要、やりたい放題!ヒャッハー!

 

上原さん去った後の自室。ひとりになって窓際になって悠々自適。

 

なぜだか最近ウィンストン・チャーチルが妙に気になる年頃なので、ボリス・ジョンソン著のチャーチル・ファクターを読み込んだり、ポッドキャストとか映画とかとにかく学んでいる。

戦争やウイルスやら、こんな非常事態が起きた際は、チャーチルの危機管理能力、直感力や決断力がウチのあいつにも3割程度でいいんで、搭載されたらもっと早く国が復活に向かえると思うんだが。

平時にチャーチルは、要らないけどね。

 

GWも終わり、新規感染者数もだいぶ減り、そろそろよくね?と思っているあんた。
まだまだ終わってないよ。

新規感染者は、運良く、またはたまたま、検査された選ばれし人間の中で、陽性になった人。
日本は検査なかなかしてくんないから、これが明るみにならないだけ。
感染している人はうじゃうじゃいます。

で、検査渋ってたら入院させてもらえなかった人が家で突然死んだりしはじめたんで、基準見直すとのことです。なのでこれからまた表に見える、新規感染者数は増えます。

まだかよー!と思うかもしれないが、得体のしれない目にも見えないウイルスに、人間がそう簡単に勝てる訳がないんです。

それこそ、早くもとの生活を取り戻したいのであれば、今辛抱しなさい。一生これが続くわけないんだから。あと数ヶ月、半年と思っているより長くなると思うけど、1人1人の行動でいつまでかは変わる。

引き続き引きこもりましょう。
ちびろっく、1ヶ月近く外出てないけど、なんにも支障ない。
真のネクラ精神がこんなところで役立つとは。

 

次回の投稿は、神のみぞ知る。

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