京都旅行記 ’05 その2 そして遭難へ

  京都 2005年11月11日〜11月13日(0泊3日)

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自然は怖い 


さて、日本の中でも特別、「和」においての象徴みたいになってる京都にて、 洋食屋さんでオムライスを食す。 それらしくうどんとかそばを食え?薄味は苦手なんです。中学の修学旅行で、京都にて薄味のものがどうしても食えず、最後のメイン食事の田楽も食えず、一人しがない中華料理屋でチャーハンを食し、3日で3キロやせ、望まぬ激しいダイエットを決行してしまったいらぬ記憶がいまだ鮮明です。

そしてまた名前のかっこよさで、京都駅から電車で一駅のところにある、
「山科聖天」「毘沙門堂」に向かうこととしました。

IMG_8483.JPG手塚治虫展開催中京都駅の駅ビルはできたばかりなのかピカピカで、ここが地震大国であることをすっかり忘れて しまったかのように、見事に吹き抜けていた。渡辺篤史だったら、「光の採り方がいいですねえ~、開放的です」なんてありきたりなコメントするんだろうな~と口をあけてぼけーとしていたが、ふと前方に細長い異物が落ちているのを発見…


糞!!!


このホコリひとつ落ちていないかと思われたピカピカの床にホカホカの糞が!!途切れもせず20センチあまりの長さのある見事な糞をおもわず今一度よく確認したのち、 写真を撮ってもいいか、となぜかそれの所有者でも容疑者でもないトドマンに聞くも、 「恥ずかしいからやめなさい!」 とあえなく却下される。またとない奇妙な光景だったが、27歳だし、しぶしぶあきらめる。 

IMG_8489.JPGさあ、電車にのって一駅、山科という駅から歩いて20分くらいのところに、これまたいい具合に地味な寺が2つ。もう4時半で、寺も閉まるころだったこともあり、またもや見物客はまばらである。だけどちっちゃくて、いい感じのところであり、また、近くを流れる小川がきれいだった。

いいかげんもみじについて言及しろ?
すみません、どうも語彙にとぼしいため、「赤い」とか「きれい」などの稚拙な表現しかできないので、写真をご覧頂きますようお願い致します。

さて、もう、いいか…と外に出て、小川をながめていると、

「←南禅寺」

と小さな道しるべが…。 
南禅寺は、本日の早朝に執事・シロに出会ったでかい寺である。そこに戻れば、夜のハイライト・清水寺へも簡単に出向けるねえ。地図を見ると、それほどの距離はないようす。まだ明るいし、ちょっと行ってみましょか! 

…悪夢のはじまり。 

しばらく、狭い川沿いの道を歩く。車が通れるギリギリの広さだけど、民家もあるし、路地裏散歩ってかんじ。観光客らしき人はもうこの時点では全く見られない。学校で使うようなお泊まり研修所みたいなとこで、BBQの準備にはしゃぐ若人を横目に、細い道をどんどん進む。薪を割るおじいちゃんの家を最後に、民家すらなくなり、フジロックのオレンジコートあたりみたいな風景になってきた。

う、うーん。でもまだ道はあるので、もう少し進んでみよう。途中、分岐点があり、片方は通行止め、片方は林へ続いていた。そして林の方にまた、 「←南禅寺」 と表示が。この林の裏手か…。

少し薄暗くなってきた。ちょっと急ぐことにする。なんとなく踏み固められた道以外、周りには人工物が見当たらないし、うちらが話す声、土を踏む音以外何も聞こえない。ちょっと怖い。

マグライトもあるし、それほど距離はないはずだから大丈夫、とたかをくくって、急ぎ目に進むと、だんだん登り坂に…?

しかも、木の根っこがはりまくって、岩がごつごつしてて、ちょっとしたトレッキング気分、て…あたしは前頁の写真のとおり、底がツルッツルのブーツを履き、半ズボン、安物トレンチといういでたちである。ちょっとした坂をのぼるのもモタモタする始末。

IMG_8498.JPGあたり一面人工物なしだんだん、山道がけもの道となり、道とは言いがたい木と木の間の隙間を一歩一歩確かめながら、登る。傾斜がきつくなり、しゃべれないほどに息もきれるが、疲れたなどと言っている暇はない。やっぱりちょっとづ~つ、暗くなっている。

あそこまで登りきったら、何かしら光が見えるんじゃないか?という淡い期待は見事打ち砕かれ、薄暗い下りの道が続くのみ。ああ、どうしよう。 トドマンも疲れているようだけど、ライトで道を照らしつつ、へとへとのあたしを励ましつつ先へ進む…。軽い気持ちで歩いていこうなんて口走って、誠に申し訳ない…。

また登り道。もう、今日中には着かないんじゃないか?真っ暗になったら、足踏み外したりするかもしれないから進めないよね?携帯の電波も入らないし、うちらがここにいることも誰も知らない。何としても、明るいうちにこの「突然トレッキング」を終了させないと、この真っ暗な山の中でクマちゃんやうり坊に怯えながらの超軽装キャンプとなる… いやっ! ネタにはなるけど、 それはいやっ!!

こんなに木がたくさんあるんだったら、この中のいくつかがLinkIconこれだったり、いきなりガサガサっとLinkIconこんなのが出てきてもなんか自然なような気がする…なんか自然なような…。
意識朦朧、魑魅魍魎!オレはきいーろーぃ、B-BO-Y!3つ目の山を越えるあたりには、もうあれこれあれこれいやなことばかり考えすぎて、逆に軽く頭の中だけ別天地。韻をふんでも出口は見えず…。しまいには、 「この人を探しています」 と人のよさそうなおじさんの写真が添えられた貼り紙…。
もういや!もういや!!LinkIconこんなのが出てきたらどうするの!!

いよいよ、先がだんだん暗くて見えなくなってきた頃突然、救急車の音が聞こえてきた!すごく久々に聞いた下界の音に、激しく浮かれた!小躍りするほどに!しばし歩くと、鉄塔が見えてきた。その向こうには、街の明かりも!街だ!街だよ!はっ!この気持ち、完全にロープレじゃん!もうHPギリギリでやくそうもほとんどなくなった時に突如現れる新しい街!

それから案外時間がかかったが、人の声がして、きっつ~い下りのぬかるみ道をすべりながらもおりると、神社のほこらみたいのが現れた! 小走りになって階段を下りきると、墓地に出た。通常、こんな辛気くさいところは好かないが、墓があるということは、人がいるということだ。

そして、約10時間前、呑気に沢ガニの撮影に夢中になった、あの南禅寺の敷地内に入った。早朝よりも人が多い…人… おお、他人…!! 今までどんな辺境地をいこうとも、これほど人間に会うことが嬉しいと思ったことはなかった。マジで。 

いい加減疲れすぎて、あとバスが混みすぎて、見る予定だった清水寺の紅葉 in the lightsはあっさりあきらめた。もうあんだけ大冒険した後に、もみくちゃになりながら人工的にライトアップされた葉っぱを見て楽しくなるとも思えなかった。 平たく言えば、疲れた。 

街…文明ってすばらしい。
せめて最後に京都っぽく、と、京風うどんを食し、なごんだが、わたしたち、これからまた夜行バスにてこのまま東京に戻ります。 そうです、0泊3日です。

バスに乗り込み、間髪入れず眠りに落ちたはずなのに、早朝家についてなぜか午後までガン寝。こうして、なごやかな晩秋のしっとり京都旅行は終了しました。

われわれが迷った場所の地図はこれです。画面右下、毘沙門堂から、左上、南禅寺まで。途中で道がなくなっているのが明白ですね?あのね、みなさん、ほんとに、夕方に山に入ることは、ほんとに、危険なので避けてください。もし、山だとしばらく気づかなくても、気づいた時点でもどりましょう~♪ もどればよかった…!

京都のおいしいもの:

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おうどん。
だしがフィーチャーされた関西風。
いままで薄味は苦手だったけど、さすが本場、うまかったよ。